競艇の風は結局どう効くのか|24場135万走で測ったら、場ごとに逆だった
「向かい風は逃げ有利」「追い風は差し有利」。競艇を始めると必ず聞く話です。
24場・25年ぶんの1号艇 1,353,950走を数えて、確かめました。
結論から書きます。
- 風速と波高は、どの場でも同じように効く。強いほど1号艇が負け、荒れる
- 風向きも確かに効いている。風速をそろえても差は消えなかった
- ただし同じ風向きが、場によって正反対に働く。三国の南東は+11.0、福岡の南東は−9.1
- そして「追い風か向かい風か」で全国を語るのは、数字の上では無理でした
順に見せます。2001年4月から2026年10月までの3連単 1,320,280レースと、そのレースに1号艇で出た 1,353,950走が対象です。
風速は、はっきり効く
まず風の強さです。ここは場によらず、きれいに並びます。
| 風速 | 1号艇の1着率 | 3連単1番人気の回収率 | 万舟券が出た率 |
|---|---|---|---|
| 0m(無風) | 44.4% | 75.2% | 18.6% |
| 1〜2m | 46.0% | 75.5% | 18.0% |
| 3〜4m | 42.4% | 72.8% | 19.1% |
| 5〜6m | 38.9% | 69.2% | 20.4% |
| 7〜8m | 37.3% | 69.3% | 20.7% |
| 9m以上 | 34.6% | 65.0% | 22.2% |
1〜2mがいちばん堅い。無風より堅いのが少し意外ですが、1号艇の1着率は46.0%で最高、万舟率も18.0%で最低です。
そこから先は一本調子に崩れます。9m以上では1号艇の1着率が34.6%まで落ち、3連単1番人気の回収率は65.0%。1〜2mのときより10ポイント以上低い。
これは実用上いちばん大事な数字です。前の記事で書いたとおり、1番人気を買い続けた回収率はふだん73.5%です。風が9m以上のときだけ、それが65.0%まで落ちる。
強風の日に手堅く1番人気を買うのは、ふだんより8ポイント損な行動でした。
波も同じように効く
波高でも同じことが起きます。
| 波高 | 1番人気の的中率 | 1番人気の回収率 | 万舟率 |
|---|---|---|---|
| 0cm | 9.1% | 76.0% | 18.2% |
| 1〜2cm | 9.4% | 75.0% | 18.2% |
| 3〜4cm | 8.7% | 72.0% | 19.4% |
| 5〜6cm | 8.0% | 70.3% | 20.2% |
| 10cm以上 | 7.1% | 68.6% | 21.3% |
波は風の結果として立つことが多いので、別々の話ではありません。ただ「風速と波高、どちらを見るか」で迷う必要はないということは言えます。どちらを見ても同じ方向を指します。
ここまでは全国どの場でも同じです。問題は風向きでした。
同じ風向きが、場によって逆に働く
24場それぞれで、風向きごとの1号艇1着率が、その場の平均から何ポイント動くかを出しました。
風の強さがまぎれこまないよう、風速を3〜4mのレースだけに固定してあります。
| 場 | その場の平均1着率 | 南東の風のとき |
|---|---|---|
| 三国 | 42.5% | +11.0 |
| 丸亀 | 44.6% | +8.2 |
| 平和島 | 35.5% | +5.6 |
| 若松 | 44.1% | −5.0 |
| 桐生 | 39.9% | −9.1 |
| 福岡 | 40.3% | −9.1 |
まったく同じ「南東の風・3〜4m」です。それが三国では1号艇を11ポイント押し上げ、福岡では9ポイント押し下げる。20ポイントの開きがあります。
水面の向きが場ごとに違うのだから当たり前だ、と思うかもしれません。そのとおりです。だからこそ「南東は荒れる」のような全国共通の話は成り立たない、という意味です。
よそで見かける風の解説の多くは、場を区別せずに書かれています。この表を見るかぎり、それは何も言っていないのと同じです。
「ただの風速の言いかえ」ではないことを確かめた
ここで疑うべきことがあります。
強い風は決まった方角から吹きがちです。たとえば津の北風が冬の強風ばかりなら、「北風だと荒れる」のではなくただ「強風だと荒れる」を言いかえただけかもしれません。
そこで、風速を3〜4mにそろえて同じ表を作り直しました。風の強さが同じなら、残った差は風向きの効き目です。
結果です。
- 風速をそろえない状態で4ポイント以上動いていた組み合わせ … 22個
- そのうち、風速をそろえても同じ向きに差が残ったもの … 22個(100%)
ひとつも消えませんでした。風向きは、風の強さとは別に効いています。
「追い風・向かい風」では説明できなかった
ここからが、この記事でいちばん正直に書かなければいけないところです。
公式データに入っているのは「北・南・東・西」という方位であって、追い風か向かい風かではありません。水面の向きは場ごとに違うので、方位だけを見て「これは追い風」と決めることはできません。
つまり我々のデータでは「追い風は有利か」に直接は答えられません。答えられるふりはしません。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。
津を見てください。
| 津の風向き(3〜4m) | 平均との差 |
|---|---|
| 北 | −15.6 |
| 南 | −18.9 |
| 東 | −2.0 |
| 北西 | +2.0 |
| 西 | +6.6 |
北と南、正反対の方角が、両方とも大きくマイナスです。
もし効いているのが「追い風か向かい風か」なら、正反対の方角は反対の符号になるはずです。片方が追い風なら、もう片方は向かい風なのですから。
そうなっていません。津では南北の風が両方とも1号艇を潰している。東西では動かない。これは追い風・向かい風の軸ではなく、水面に対して横から吹く風が効いているという形に見えます。
ただしこれは我々の解釈であって、測った事実ではありません。津の水面がどちらを向いているかを確かめたわけではないからです。事実は「北と南が両方マイナス」まで。そこから先は、読んだ方が判断してください。
結局、どう使えばいいか
実用的にはこの3つです。
- 風が5m以上の日は、1番人気の価値が落ちる。9m以上なら回収率65%まで下がる。手堅く買っているつもりで、いちばん損な買い方になっている
- 風向きは、自分が買う場の表を見るしかない。全国共通の話は存在しない
- 風速と波高はどちらを見ても同じ。両方気にする必要はない
鬼舩Kingdomでは、場べつの予想でその日の風と波を見ながら買い目を出しています。AI予想対決では、当たった予想も外れた予想も全部そのまま残しています。
荒れる競艇場のデータもあわせてどうぞ。
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この記事のデータ
- 対象:2001年4月1日〜2026年10月5日
- 3連単 1,320,280レース/1号艇での出走 1,353,950走
- 風向き・風速・波高は公式の競走成績データに記録されている値(記録率100%)
- 場べつの数字は、風速3〜4mのレースに限定して比べたもの
- 出典:公式配布の競走成績データを鬼舩Kingdomが集計